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ペンタサとサラゾピリン併用療法

潰瘍性大腸炎ーペンタサとサラゾピリン併用療法

組み合わせと工夫でステロイド製剤の投与を減らすことができます。

現在、我々医療者は、すでに、種々の難治といわれる病気に対して、治療薬を持っているのではないかと言われています。 
どういう事かと言うと、薬はすでに開発されているが、その組み合わせと工夫にいま一つ進歩がみられず、気づいてないのではないかという事です。 
西洋科学は証明する(治療効果の有効性を示す)という事を第一の条件として250年間、発達してきましたが、そのため逆に、単一の治療法しか発達せず、各種の薬の複雑な組み合わせによる治療は未発達です。 
 これには複雑に組み合わせる程、数学的な証明が難しかったことも原因しています。

一方、漢方薬を見てみますと単一の薬剤というのは、ただの一つも存在しません。 
5種や10種の薬の組み合わせと微妙な配合量の変化による有効性の変化が各種、教科書に記載されており、まさにこれを使いこなすことで効果が増加します。
潰瘍性大腸炎(UC)の場合もサラゾピリンは偶然にその有効性が発見されて、使われ始めたもので計画的に作られたものではありません。経験によって発見されたものです。

その後、サラゾピリンには特に副作用があらわれる人があったため、化学の進歩とともに 分析、統合が行われ、この中の5ASAと言われている成分のみが有効であり、それ以外を除くと 副作用が少なくなることが発見され、ペンタサが作られました。 
現在はペンタサがUC使用薬の第一選択とされています。

ところが、最近になって更なる化学の進歩で、ペンタサとサラゾピリンでは潰瘍性大腸炎(UC)に対する有効性の作用が少し異なることが見つけられてきました。 
即、直腸やS状結腸といった遠位の場合はサラゾピリンの方がペンタサより有効性が高いことが 知られており、これが分析を始める原因となったものです。 
この結果を受けて、我々の施設では、潰瘍性大腸炎(UC)の方がペンタサ又はサラゾピリンを使用していて 急性憎悪をおこした場合、多くはプレドニンを追加しますが、その方々に割り付けを行い、 一方の20人の方にはプレドニンの追加とペンタサ又はサラゾピリンを、 もう一方の20人にはプレドニンの追加に加えてペンタサとサラゾピリンをそれぞれ半分ずつ 併用するという方法をとり経過を観察しました。

結果はプレドニンとペンタサ又はサラゾピリンの群は炎症がおさまり、プレドニンが不要となるまでの期間が3、9ヶ月(平均)でしたが プレドニンの追加に加えてペンタサとサラゾピリン両方の併用例は2,2ヶ月と半分近く短期にて 炎症がおさまりました。

この結果を受けて、多くの再発を繰り返す方や、 ステロイドがなかなか中止出来ない方、又はイムランが切れない方にペンタサとサラゾピリンの併用を行ってみました。 
結果は19例の中の15例に有効性が確認され、その有効率は78%と時間がかかり、 速効性はおとりますが有効率ではプレドニンを上回っています。

今後、対象の例を増やして、統計解析が必要ですが、 少なくとも、ペンタサorサラゾピリンという投与方法よりも ペンタサ+サラゾピリンの併用が明らかに優れていることは十分考えられる結果でした。 
今後は、この方法が第一選択となっていく可能性があると考えています。 
我々の所では、現在(2008年4月)207名のUCの方を診ていますが 毎年、春になると悪化する傾向の方が多いのですが、 サラゾピリンとペンタサの併用の方からは 悪化例が少なく、悪化しても少量のステロイドの追加ですぐ改善する傾向があり、 G-CAPやL-CAPの使用が例年の半分以下と減ってきています。 
現在テスト中のペンタサ+サラゾピリン+ポリフル+ムコスタがより有効の可能性がありますが 統計解析するにはいたっていません。 
今後の課題です。

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