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過敏性腸症候群(IBS)

通勤や通学の途中で急におなかが痛くなったり、緊張するとおなかがキリキリしたり、下痢や便秘を繰り返したり、そんなことで悩んでいませんか?

下痢・便秘・腹痛・腹満・ガス・便漏れ等の多用な症状を示し、著しく生活の質の低下をまねく過敏性腸症候群(IBS)という病状の方が増えています。日本での一般の健康診断の問診で100人中14人に(重い方から軽い方まで合わせて)あると言われています。

過敏性腸症候群(IBS)の分類

 

下痢型 軟便から水様までさまざま
便秘型 多くは便が細い、堅いとコロコロとなる
混合型 下痢と便秘が交替でくる不安定なもの
分類不能型 便通異常が上記3つにあてはまらないタイプ

 

ローマⅢ 過敏性腸症候群(IBS)の診断基準

腹痛などの症状が排便により軽快する。
症状の有無によって排便頻度に変化がある。
症状の有無によって便の状態に変化がある。
※6ヶ月以上前から症状があり、腹痛あるいは腹部不快感が、最近3ヶ月の中の1ヵ月につき、少なくとも3日以上を占め、2項目以上満たしている。

2006年、世界の過敏性腸症候群や機能性病気の研究会(ローマⅢ)で治療の基準が発表され話題となっています。今までいまひとつはっきりしなかった過敏性腸症候群の原因が判明し、対応法もわかってきたのです。原因は脊髄の後根で末梢からの情報を脳へ伝える連絡回路の部分が何らかの理由で大きく開いてしまい、わずかな刺激をその何倍もの大きな刺激として誤って脳へと伝えてしまうというものです。
例えば、多くの人が朝に目が覚めると腸も少しずつ動き始め、排便の準備が始まります。このわずかの腸の動きは普通では動いていることに気付かないのですが、過敏性腸症候群の症状では、脊髄の後根の情報回路の開きすぎによって単なる排便のための運動開始の動きを脳へは過大な痛み(場合によっては耐え難い程の痛み)として伝えてしまうのです。同様の原因で下痢や便秘、腹満が起こってしまうと証明しています。
このローマⅢの画期的なところは、開きすぎた回路をもとに閉じる薬が発見され、各国の追加テストで確認が証明されたことです。
ひとつは、100種類以上もある抗うつ剤の中のひとつSNRIと呼ばれるもの。もうひとつは、50種類以上あるてんかんの薬の中のひとつでカルマパゼピンです。(過敏性腸症候群は、うつ病やてんかんと関係があるわけではありませんので他の抗うつ剤や抗てんかん剤は効果がありません)更にもっと有効な情報としてどのタイプの過敏性腸症候群も便の量を増やせば多くは症状が軽くなることが報告されたことです。
第一段階の治療は痛みをとり日常生活の質の低下を元に戻す。その後、第二段階として便の量を増やせば治癒へと近づくということがわかったのです。しかし、現在の日本人の1日平均食物繊維摂取量は30年前に比べて(27g→9g)1/3以下と減っており、食事のみで急に27gの線維を摂るのはとても無理があります。そこで開発されたのが、ポリカルボフィルカルシウムという薬で、この薬は1日3gの内服で20gの食物繊維の摂取と同じ便の量を増加させる力があります。(この薬は殆ど無害でそのまま体外に出るため長期の使用が可能です)但し、有効性を発揮するまで(体内の腸内細菌が落ち着くまで)約2週間が必要です。使用開始の始めから全量を飲むと逆にお腹が張って気分が悪くなる(もともとある腸内細菌が急激な大量の便によりショック状態となりガスを発生させる)場合が多く、少しずつ量を増やして2週間で安定させることが必要です。
この第一、第二の段階の治療に加えて1日30分の軽い運動が再発を1/2以下におさえ、又、再発しても軽症化すると言われています。今まで過敏性腸症候群でもう治らないとあきらめていた人も、2006年のローマⅢの報告に合わせてもう一度治療にトライしてみることをおすすめします。

ローマⅢは冒頭にはっきりと気のせいという病気や症状はないと明記しています。

過敏性腸症候群(IBS)に関する情報


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