過敏性腸症候群(IBS)に関する情報
- 過敏性腸症と診断されたら NEW!
HOME > 大腸疾患の治療について > 過敏性腸症候群(IBS) > 過敏性腸症候群(IBS)の新しい知見と治療法の発見
人の病気をコントロールする上で最も大切なものは免疫です。この免疫に対する考え方は過去に大きく3回にわたって変化しています。
まず始めは、自家中毒という考え方でした。
大腸の中に悪いものがたまってしまい、これが病気を引き起こすという考え方で1900年代の中頃まで続きます。これは全くの誤りであるというのが1980年頃に判明、次いで出てきたのが自己免疫の過剰反応という考え方です。世の中が清潔になりすぎて寄生虫等がいなくなったため、免疫の仕事がなくなり自分自身を 攻撃することで自己免疫疾患(UC、クローン、リウマチ等々)がつくられるという考え方です。
これも2013年にははっきり誤りであることが判明しています。
現在、免疫の中心は腸内細菌であることが分かっています。腸内細菌が直接免疫として作用を発揮するのではなく身体全体の免疫をコントロールしていることが分かりました。
即ち、腸内細菌が安定していないと免疫のコントロールが不安定となり、自己免疫疾患の出現や悪化に関係するということです。
その為、腸内細菌を安定させればUCやクローン、IBSもコントロール下におくことが可能になると言われています。
現在、腸内細菌を安定させる為の薬や健康食品は見つかっていません。(腸内細菌はあまりにも複雑で現在の科学のレベルでは手が出せないというのが実情です。)しかし、腸内細菌に餌を与えて自身で増えて安定してもらうことは可能なのです。もともと腸内細菌は人の指紋と同じでどれ一つとして同じものはありません。人によってまるで異なる腸内細菌は外から補充することはできません。有名なビフィズス菌もある人の腸内細菌を増やしたものです。これを食べても腸の中で数時間生きているだけでなくなってしまいます。
しかし、人が食べても消化しない植物繊維が大腸へ届けられるとこれを腸内細菌が食べて自分で増えていきます。
腸内細菌にとって最も好ましい食物は穀物の繊維です。
玄米や全粒粉の小麦、オートミール等です。しかし、これらはもあまり細かく粉末にしてしまうと小腸で吸収されて大腸へ届きにくくなり役立たなくなります。
玄米はそのまま小麦は粗挽きがのぞましいのです。
2013年米国の12の大学の共同研究である種の食物が自己免疫機能を改善させる力があることが初めて証明されました。
もともと全粒の穀物(玄米、ライ麦パン、全粒パン、全粒パスタ等)が免疫機能を改善、又は上昇させることは動物実験で分かっていたのですが、人で証明されたのは初めてです。
テストの方法は特に病気のない学生をつのり、2つのグループに分け、1つのグループは食事の内容に全粒の穀物を加える。もう1つのグループは精製穀物(小麦、白米等)とするもので3か月後、6項目の免疫機能と大腸菌を測定します。
次いでグループの食事をそっくり入れかえて3か月後に再度測定するというものです。
その結果、全粒の穀物を食べた群はそうでない群に比べて明らかに30%以上の免疫機能の上昇がみられました。この原因が全粒の穀物による大腸菌の多様性の獲得と大腸菌の増大によることも判明しました。
即ち、全粒の穀物を食べることで大腸菌の多様性が増加し、これが免疫機能を上昇させることが分かったのです。 この結果は各地の大学で再テストが行われ間違いないことが証明されており自己免疫疾患に有効であることが報告され、病気の治療が薬と食事として新しく開始されつつあります。 テストで特に病気のない学生を対象にしており病気の人の場合は更に効果があると言われています。 日本では食事に米を食べますので白米を玄米に切り替えるだけで病状の改善を見込むことが出来ます。 裏面の図のピラミッドは、土台の食物を出来るだけ多くとり上へ行く程少なくすることで免疫機能が改善される食事内容を示しています。 同じ意味でうどんやそば等の麺類もあまりおすすめではありません。パンも出来るだけ全粒パンやライ麦パンが望ましいと思います。