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アサコール

潰瘍性大腸炎ーアサコール

21年、5ASA製剤の一つとしてアサコールが登場しました。
アサコールの特徴はそれまでの5ASA製剤が(サラゾピリン、ペンタサ)大部分小腸で吸収されてしまい、5ASAを大腸まで十分に届けることが難しかった点を改善しています。
アサコールは大腸の直前の回腸末端部で溶け始め大腸全域に5ASAが高い濃度でいきわたることから、直腸炎型のUCにも効果が大きいと考えられています。
又、アサコールは上部小腸では5ASAが放出されないために血液中への移行率が28%と投与量の1/3以下ですので全身の副作用が少ない薬剤です。
使用方法は内服で1日9錠(3600㎎)3ケ月続けてその後、1日6錠(2400㎎)で維持するのが有効と報告されています。
下記の3人の方は種々の方法で有効が得られなかった方がアサコールのみで改善した方の例です。

その後、サラゾピリンには特に副作用があらわれる人があったため、化学の進歩とともに 分析、統合が行われ、この中の5ASAと言われている成分のみが有効であり、それ以外を除くと 副作用が少なくなることが発見され、ペンタサが作られました。 
現在はペンタサがUC使用薬の第一選択とされています。

ところが、最近になって更なる化学の進歩で、ペンタサとサラゾピリンではUCに対する有効性の作用が少し異なることが見つけられてきました。 
即、直腸やS状結腸といった遠位の場合はサラゾピリンの方がペンタサより有効性が高いことが 知られており、これが分析を始める原因となったものです。 
この結果を受けて、我々の施設では、UCの方がペンタサ又はサラゾピリンを使用していて 急性憎悪をおこした場合、多くはプレドニンを追加しますが、その方々に割り付けを行い、 一方の20人の方にはプレドニンの追加とペンタサ又はサラゾピリンを、 もう一方の20人にはプレドニンの追加に加えてペンタサとサラゾピリンをそれぞれ半分ずつ 併用するという方法をとり経過を観察しました。

結果はプレドニンとペンタサ又はサラゾピリンの群は炎症がおさまり、プレドニンが不要となるまでの期間が3、9ヶ月(平均)でしたが プレドニンの追加に加えてペンタサとサラゾピリン両方の併用例は2,2ヶ月と半分近く短期にて 炎症がおさまりました。

この結果を受けて、多くの再発を繰り返す方や、 ステロイドがなかなか中止出来ない方、又はイムランが切れない方にペンタサとサラゾピリンの併用を行ってみました。 
結果は19例の中の15例に有効性が確認され、その有効率は78%と時間がかかり、 速効性はおとりますが有効率ではプレドニンを上回っています。

今後、対象の例を増やして、統計解析が必要ですが、 少なくとも、ペンタサorサラゾピリンという投与方法よりも ペンタサ+サラゾピリンの併用が明らかに優れていることは十分考えられる結果でした。 
今後は、この方法が第一選択となっていく可能性があると考えています。 
我々の所では、現在(2008年4月)207名のUCの方を診ていますが 毎年、春になると悪化する傾向の方が多いのですが、 サラゾピリンとペンタサの併用の方からは 悪化例が少なく、悪化しても少量のステロイドの追加ですぐ改善する傾向があり、 G-CAPやL-CAPの使用が例年の半分以下と減ってきています。 
現在テスト中のペンタサ+サラゾピリン+ポリフル+ムコスタがより有効の可能性がありますが 統計解析するにはいたっていません。 
今後の課題です。

アサコール図1

 

アサコール図2

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