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女性に多い痔の病気

若い女性、特に10代の女性は他の年代の女性や同世代の男性と比べて圧倒的に切れ痔が多いのが特徴です。

若い女性特有の病気と原因

女性ホルモンの影響

10代の女性に何故、切れ痔が多いのでしょうか?

女性におおい痔の病気痔が発症する肛門も皮膚の一部です。
10代後半になると女性ホルモンが活発になる関係で表皮の成長と老化(角化)が男性に比べて遅く、皮膚は子どものときと同じように皮脂層に富んでおり、柔らかくスベスベしています。反面、保護機能を担うケラチンの層がまだうすく、他の年代に比べて感染をおこしやすい傾向にあります。

人が立って歩くため

ほ乳類は犬、猫を見ればわかるようにお尻は常に心臓より高い位置にあります。だから心臓からお尻へ行った血流は圧力が減ればそのまま逆流することはなく、もとの心臓へ返って行きます。ですからお尻には逆流防止のための静脈弁がありません。
このため、お尻は大切に扱わないと簡単にうっ血がおこり、感染がおこったり、出血したり脱出して痛むということが起こりやすいのです。

大切なゾンビ

肛門の近くの皮膚も他の皮膚を同じく3層(表皮、 真皮、脂肪層)からなっており、それぞれ各層が独特の働きをしています。
その3層は死んだ皮膚(ケラチン)によって覆われ細菌からガードされています。 つまり、細菌から見ると人間はゾンビみたいなもので表面が硬い死んだ細胞で覆われており取り付く島がないのです。 ところが中には清潔大好きの人がいて必要以上に石けんを使って強く洗いすぎると、この表面の3層が2層になり1層となり時には0層となって赤く腫れ感染しやすくなります。

危険なあかすり

外国(アジア)ではあかすりというエステがあって身体の汚れを取りますと宣伝されていますが、これは実は皮膚の表面の大切な3層をはぎおとしているのです。
体調がいいときは、1日で3層は元に戻り、身体をカバーしてくれます。なかには2日続けて垢すりに行って2日間とも直径3センチもある汚れの玉がとれたという人もいますが、これはあまりおすすめ出来ません。
体調がいい時は表面のゾンビ3層はすぐ戻ってくるのですが、体調が悪かったり強いストレスにさらされたりしていると、脳がまず大量のエネルギーを使用し皮膚のエネルギー回復は二の次となり回復が遅くなります。
これに生理が重なったりすると肛門の皮膚が軽い感染をおこした状態、例えて言えば軽いやけどのような状態になっていますのでちょっとした便秘や下痢で傷がついたり細菌感染がひどくなったりして、これが少しづつ切れ痔へ進んでいくという過程をたどります。

膣は乳酸菌が守っている

ちなみに、肛門に近い膣では同じく状態でも傷ついたりすることは滅多にありません。
これは膣内は個人特有(母親からもらった)乳酸菌でガードされている為、菌は入り込んで感染をおこす事ができないのです。
この各人別の乳酸菌は母親から代々受け継がれるもので買ってきたヨーグルトを飲んでも役に立ちません。
この同じ乳酸菌が人の皮膚の表面にいるその人特有の常在菌(皮膚直径1センチあたりに約5000匹)をコントロールしているのです。
赤ちゃんがあまずっぱい臭いがするのは人の特有の常在菌が完成する(住み着く)までの間、乳酸菌の匂いがするためです。
自分特有の常在菌と乳酸菌が強くなると皮膚は軽く湿って艶のある美しい皮膚となります。
では乳酸菌と常在菌を強くするにはどうすればいいのでしょうか。

痔にならない、悪化させないための予防と対策

ゴシゴシ洗わない

女性におおい痔の病気毎日石けんを使ってゴシゴシ洗うと大切な常在菌(身体全体では1.5㎏に達します)や乳酸菌が減ってしまいますので皮膚炎や痔になりやすくなります。よほど汗や油で汚れた場合以外はなるべく石けんは少なくしお湯で洗い流す程度が望ましいのです。

長湯をしない

人間の皮膚は高温、多湿には向いているのですが、あまり長湯すると油が抜けて皮膚がアルカリ化し皮膚炎をおこしやすくなります。
長湯は大切な常在菌を減らしてしまいますので痔の原因になると思って下さい。
(痔が腫れて痛みがある時、一時的に長湯で血行をよくして治療を行うときは別ですが、これもあくまでも一時的です。)

人それぞれの乳酸菌

乳酸菌は代々母親から娘へと受け継がれて行きますが、数万年の間に土地や気候に合うように少しづつ変化しています。
日本人の利用しやすい乳酸菌は味噌や醤油の中にいます。ちなみに韓国の人はキムチ、中国ではザーサイに、ドイツではザウアークラフトにという具合です。
あまり異なる乳酸菌は皮膚炎やアレルギーのもとになります。よかれと思ってヨーグルトを常用することはおすすめ出来ません。ヨーグルトとはもともとユーカサス地方の人々の乳酸菌です。 ヨーグルトを連日好んで用いたりするとまさかの切れ痔が起こりやすくなることを知っておいて下さい。

睡眠不足が痔を悪くする

肛門の皮膚が長湯でアルカリ化してもヨーグルトで常在菌が減ってもなんとか持ちこたえていたお尻に睡眠不足が加わるとジムラルペプチドと言うバクテリア由来の物質が骨髄液の中に増え、細菌感染しやすくなり、疲れ、微熱、ホテリ等が出現します。
ここまでくると最後の砦が崩されて痔主へと直結します。

(大切なホルモンの分泌) 皮膚の水分を保ちカサカサしないようにするポイントはホルモンです。成長ホルモンが不足すると皮膚がカサカサになり弱酸性からアルカリとなって、常在菌の力が弱まり傷がつきやすくなります。 この大切な成長ホルモンはPM10:00~AM2;00くらいの睡眠中に分泌されますのでこの間の十分な睡眠がとれないと、ホルモンの分泌が不足し、皮膚がカサつき痔が切れるという状況が出てきます。PM10:00~AM2:00の間に十分睡眠をとることで皮膚を強くし、ひいては痔が切れるのを予防します。

野菜が痔を予防する

女性におおい痔の病気若い女性は特に何も言わなくてもサラダバーを好んだり、野菜をたくさん食べようとします。
これは、前に述べた原因による皮膚の不安定さを身体が取りかえそうとしているからです。野菜は食べると完全に燃えてしまうまで25~30時間を用しますが、肉や魚、乳製品は約40~50時間身体にとどまっています。
即、肉や魚よりも野菜を食べる方が基礎代謝が上昇するので皮膚も弱酸性を取り戻し、カサカサしにくくなります。

又、野菜は腸内細菌のエサでもありますので、腸内細菌が安定し、便通が良くなると痔の悪化も防げることになります。

こんなときはどうする?知っておきたい痔の治療

悪化して痛い、出血のときの治療

不幸にして切れ痔や肛門ポリープが出来てしまった時はどうしたらいいでしょうか。
肛門は狭く硬くなったお尻の前、又は後ろの側をとってやることで新しい軟らかいお尻を出現させることが出来ます。 手術は痛みを取るための腰椎麻酔によって安全に行う事が望ましいと思います。 腰椎麻酔のあと、若い人に特有ですが急に動くと頭痛、吐き気、めまいがする人がいますので2日間の安静が望ましいと思います。 2日、入院し2日安静にすれば4~5日からは仕事に戻ることが出来ます。

お産で突然痛みが起きたとき

お産の時、肛門が大きく腫れてひどく痛み、赤ちゃんどころでないという方が時にみられます。
これは普通の痔とは異なり、お産でいきんだとき、静脈弁がない肛門の血流が悪化して鬱血し、腫れあがった状態です。 痛みはとんでもなくひどく、赤ちゃんどころでないという程です。

これは、通常の痔とは異なり、「かんとん痔核」といいます。
対応は一つです。 対応は痛みを取ってやり筋肉の痙攣をとることにつきます。
腫れている部分に麻酔剤の注射をすると一時的に痛みが消失します。すると筋肉は痙攣の必要がなくなる為、痙攣を中止します。 この間に腫れてうっ血したお尻は少しづつ元へ戻ります。
麻酔の後、お尻をお湯で暖かくしたタオルで温めると更に早く痛みが引きます。 約8時間すると麻酔が切れて、また痛みが始まることがありますが、この時は同じ処置を繰り返します。これを数回行えば、痛みは引き、かわいい赤ちゃんを抱っこする余裕が出で来ます。 これを行わないと5~7日間くらいはとんでもなく痛みが続きます。 痛んだ時、産科の先生にお願いすればすぐやって頂けます。

以上が若い女性に特有の痔の発生の原因と予防、治療です。 ここに掲載している皮膚のケアは全身の皮膚にも当てはまりますので活用してください。

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痔の三大疾患といわれている「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「痔瘻(痔ろう)」の主な症状と手術について説明しています。詳しくは下記をクリックしてください。


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