【出典】済生方
【組成】人参、黄耆、白朮、当帰、茯神、竜眼肉、酸棗仁、遠志、炙甘草、
木香、大棗、生姜。
加味帰脾湯:帰脾湯+柴胡・山梔子
【効能】益気補血、健脾、養心安神。
【主治】心脾両虚、脾不統血。
心脾両虚:疲れやすい、全身疲労倦怠感、元気がない、息切れ、食欲不振、軟便あるいは水様便などの脾気虚の症候と、顔色が悪い、物忘れ、寝汗、精神不安、不眠あるいは睡眠が浅い、夢が多いなどの心血虚の症候が見られるもの、舌質が淡白、脈が細弱で無力。
脾不統血:血便、不正性出血、皮下出血、月経周期の短縮、月経の持続が長いなど。
【解説】本方は「補気健脾」と「養心安神」の生薬を組み合わせた処方である。
本方中の四君子湯(人参、白朮、茯神、炙甘草)が補気健脾に働き、脾胃が強くなれば気血を生じる。気が強ければ血液を管理することができる。当帰補血湯(当帰、黄耆)には補気生血の作用があり、四君子湯を補助する。竜眼肉、酸棗仁、遠志は養心安神に、木香は理気に働く。 全方で益気・補血・健脾・養心・安神の効能が得られる。
「参考」
現代薬理研究によって、以下の薬効が証明されている。
(1) 滋養強壮作用、(2)補血作用、(3)鎮静作用、(4)血小板減少症の改善作用、
(5)止血作用など
【臨床応用】
  本方は心脾両虚によく使われる処方であり、動悸、不眠、物忘れ、寝汗、精神不安、顔色が悪い、疲労倦怠感、食欲不振などに、血便、不正性出血、皮下出血を伴う場合には用いる。
1、 血便:慢性血便に、動悸、不眠、物忘れ、精神不安、疲労倦怠感、食欲不振窓を伴う場合には用いる。
2、 その他に、自律神経失調症、神経症、心臓病、貧血、慢性出血、不正性出血、血小板減少性紫斑病、皮下出血、胃潰瘍の出血などにも心脾両虚、脾不統血の症候が見られる場合にも用いる。