【組成】黄耆、当帰、人参、白朮、甘草、陳皮、升麻、柴胡、生姜、大棗
【効能】補中益気、昇陽挙陥
【主治】脾胃気虚、気虚下陥
【適応症】
脾胃気虚:元気がない、疲労倦怠感、疲れやすい、四肢がだるい、立ちくらみ、眠くなる、汗をかきやすい、食欲不振、舌質は淡、舌苔は薄白、脈は虚など。
気虚下陥:慢性下痢、胃アトニー、遊走腎、へルニア、脱肛、子宮下垂、内臓下垂など。
気虚の発熱:慢性に繰り返す微熱で精神的・肉体的疲労にともなって発生する。頭痛、自汗などが見られることもある。

【臨床応用】
本方は補気健脾の効能があり、脾胃虚弱や肺気虚などを治療する代表方剤であり、顔色が悪い、食欲不振、疲労倦怠感、疲れやすい、内臓下垂などの症状を特徴とする病態に適応する。
担がん患者に対して、手術前状態の改善、術後の体力回復、化学療法や放射線治療副作用の軽減、免疫力の増強などの目的で気虚の症状が著しい場合には本方を投与する。
それ以外に、虚弱体質、脾肺機能虚弱の患者に対する全身状態の改善、高齢者のQOLの向上、C型肝炎、内臓下垂の治療などに役立つ方剤である。
【参考】
本方は薬理研究によって、(1)抗腫瘍効果、延命効果(NK活性の上昇)、(2)白血球の回復促進・造血幹細胞の増進促進、(3)胃粘膜保護作用、(4)胃切除後の骨障害を改善する、(5)精巣上体管細胞増殖促進・精子運動性の改善(6)気道粘液線毛輸送系機能の改善、(7)疲労回復作用などの効能が証明されている。